第一部:化学と物質構造 生活と化学

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  生活の中の化学

地球環境
 地球温暖化の原因物質である二酸化炭素やメタンの大気濃度増加のみならず,太陽からの有害な放射光を遮断するオゾン層の破壊,海洋汚染,大気汚染,水質汚染,土壌汚染など地球・地域環境の悪化は,人口急増と生活向上(便利さ)を求めた人類の活動でもたらされた結果である。
 増え続ける人口を支えるためとはいえ,利便性・利潤に重きを置いた化学技術開発を進めてきた責任がある。しかし,この状況を改善のために,化学に対する期待も大きい。人類の持続的発展のための化学利用について考える時代である。

金属
 生活の中では,単一の元素で構成される純金属は少なく,目的の性能(要求性能)が得られるように,複数の元素で構成される合金として活用されている。
 鉄に少量の炭素を加えた鉄鋼は構造物,建造物,自動車,家電などの多くの構造用部材として,鉄にクロムやニッケルなどを加えたステンレス鋼は腐食を嫌う環境に用いる材料として知られる鉄の合金である。
 他には,低温で融解する金属,温度で形状が変わる形状記憶合金,生体との相性が良く,一般環境で腐食しないチタン合金,電気をよく通す合金,ある温度以下で電気抵抗が無くなる超伝導合金など,ニーズに応じた多種多様の合金がある。

石油化学
 石油を原料とする材料には,原油の精製で得られるアスファルト,重油,灯油,ガソリンなどの他に,石油・石炭などから作られた原料を用いて,種々の特性を持つ有機材料が作られる。
 有機材料は,洗剤,溶剤,染料,顔料,農薬,医薬品,食品添加物として広い分野で用いられている。有機分子を連鎖的に結合した有機高分子材料は,固体として特殊な特性を有し,プラスチック(合成樹脂),ゴム,合成繊維として,広い分野で利用されている。

新素材
 陶磁器技術の進化系として,極度に精製した原料やこれまでに利用されていなかった無機化合物を原料とし,精密な制御技術で製造されるファインセラミックスは,各種センサーや人工骨などに活用されている。
 プラスチックと有機合成繊維,無機系のガラス繊維や炭素繊維と組み合わせた複合材料 ( FRP ) は,高強度で同種の金属に比較し,軽く耐薬品性が高いなどの特徴を生かし,船舶,宇宙・航空産業,自動車,鉄道車両,タンク類などに活用されている。

その他
 ビタミン C の発見と合成により食品の酸化防止剤として活用され,食品流通や保存に活用されている。
 分析化学の発達は,犯罪捜査の常套手段である鑑識分析,製品の適切な成分表示,健康診断,疾病原因検査に大きく寄与している。
 殺虫剤,除草剤などの農薬,農地の土壌改質や安定的した生産のための肥料など,食糧の安定的な生産に必要不可欠な技術となっている。

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